ファミコンカセットの電池交換と分解の手順 | スリムキュー - slimqu

ファミコンやスーファミなどのレトロゲームがセーブできなくなった時に試したい、ファミコンカセットの電池交換と分解方法を書きました。
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目次
カセットのバックアップの仕組み
久しぶりファイナルファンタジー2というファミコンカセットを引っ張り出して、セーブしてある程度育てた時のことです。一旦他のカセットを本体に挿し込んで遊んだ後に、再度ファイナルファンタジー2を挿し込んでセーブデータを見てみると、全て消えていました・・・。とんでもなくショックでした。
この時、私は誓ったのです。「二度とこのようなことがないように完璧なるメンテナンスと調査を行う」と。
セーブ機能が付いているファミコンカセットにはバックアップを維持するための電池が内蔵されています。そしてこの電池の寿命は数年くらいと言われています。中にはいまだにセーブデータが消えてないカセットもあります。最初からセーブデータが消えているレトロソフト系は遊ぶ前に電池交換をすべきなのです。
ファミコンカセットの内蔵電池
ドラクエやFFなどセーブ機能があるファミコンカセットは、S-RAMとバッテリーバックアップが使われリチウム電池が内蔵されています。

カセット内部にリチウム電池を搭載することよって常時電流を流し、データを保存しておく技術をバッテリーバックアップというそうです。消費電力は少ないとのこと。
DRAMと異なり、記憶部にフリップフロップ回路を用いているため、リフレッシュ操作が不要であり、記憶保持状態での消費電力は極めて小さい。
Static Random Access Memory - Wikipedia
フラッシュメモリを使う現在のゲーム機はセーブデータが消えることなんて少ないのですが、レトロゲームは電池型なのでしょうがないです。これもまたレトロゲーの醍醐味なのでしょう。
電池の寿命は数年程度。電源を入れている間は電力が供給されるんですが、電池が切れてしまうとデータを保存できなくなる揮発性メモリなのです。もちろん、電池交換する間も電力が供給されなくなるのでバックアップが機能しなくなります。
ファミコンとスーパーファミコンは「CR2032電池」が使われています。コイン型のリチウム電池ですね。

端子なしCR2032は百均、端子付きCR2032はAmazon等にあります。端子付きとはコイン電池に金属製の端子が付いているもので、はんだで固定させるためのものです。
ということで、はんだこてで完全に固定させた方が衝撃にも強いので、端子付きCR2032がおすすめです。
セーブが消える原因
リセットボタンを押さずに電源を切った場合などに、チェックサムエラーだと判断され保存したセーブデータを破棄してしまうそうで、リセットボタンを押しながら電源を切る必要があります。
そもそも、ファミコンはバッテリーバックアップを想定して設計されてなく、無理やりカセット側でセーブ機能をつけている状態なんです。よってちょっとした衝撃や電源でデータが吹っ飛ぶ可能性があります。
セーブが消える原因は大体これです。
- 電池切れ
 - 電池端子の剥がれ
 - フリーズを引き起こすチート行為
 - 端子汚れや腐食
 - 抜き差し・衝撃による接触不良
 - 静電気
 - セーブ中に電源を切る
 - カセットを挿し込んだ位置が悪い
 
このことから
- 新しい電池に交換する
 - 端子のクリーニング
 - 衝撃を減らす
 - 極力カセットを抜かない
 - 静電気を除去してカセットを扱う
 
等のメンテナンスを最初に行えば、セーブが消える確率を減らすことができます。
電池交換に必要な工具

ファミコンやスーファミカセットの電池交換に必要な工具は以下です。以下はAmazonで価格が安く実際に私が使っているものです。合わせ買い商品になっているので必要なものだけまとめて入手しておいてもよいでしょう。
半田ゴテ
はんだ
はんだ吸取り線
DTC-20 ドライバー(スーファミカセット用)
ファミコン・スーファミ兼用電池
- ニッパー
 - ペンチ
 - 軍手
 - CR2032(端子付き)
 
ついでに端子部分のクリーニングを行うなら無水エタノールと綿棒を準備するとよいでしょう。
スーパーファミコンソフトを分解する時は、DTC-20ドライバーを使いましょう。

端子付き電池を使わない場合は電池ホルダーのCH7410型コイン電池ホルダー(CR2032)を用意2個して、ホルダーの端子部分を削って接合できるようにします。
これなら交換時にセーブデータを維持したまま簡単に電池交換できます。とはいっても、次に交換するのは20年後くらいになりそうですが。
参考:ぼうけんのしょを50年守る! ファミカセ『ドラクエ3』バックアップ電池大容量&長寿命化術 - mitok(ミトク)
殻割り:ファミコンカセットを分解する
まずはファミコンカセットの全面を上にして、端子部分を自分の方向に向けます。そしてカセットの下部側面にマイナスドライバーを挿し込んだら

テコの原理で上のカバーを内側に持ち上げます。

下部側面右を内側にスライドします。

下部側面左を内側にスライドします。

上部のツメ右を下方向にスライド。同じように上部のツメ左を下方向にスライドします。
という感じでカセットの4方向をずらしながら開けていくとツメを割らずに開けることができます。
これを殻割りといいます。外すたびに「パキッ」と音がしますがツメが割れている音ではありません。慣れると簡単。
はめる時は、ゆっくり力を入れると中のツメが割れずに合わせることができます。
ファミコンカセットの中

スーパーファミコンカセットの中

はんだごて ではんだを溶かす

最初に、端子から電池を浮かせてニッパーで切り取ります。こうすれば電池がはんだで熱され損傷することもないので安全です。

裏返してハンダゴテではんだを溶かしながら、はんだ吸取り線ではんだを吸収しながら古いはんだを取ります。
- はんだごてを3分ほど温める
 - はんだごての先が黒くなっていたら綺麗にする
 - 端子に付着しているはんだを温めて、はんだ吸取り線で吸収する
 
はんだごてを扱うのは中学生の工作以来でしたがすぐにできました。長時間あてると端子部分が焦げるので注意してください。
上手くはんだ付けするコツは、この2つ。熱を上手に伝えることがポイントとなります。
- 基盤が焦げるので長時間あてない
 - はんだごてのコテ先は寝かせてあてる
 - はんだごてはコテ台に置いて作業する
 
使い終わったら、コテ先に付着しているはんだや汚れを水を濡らしたスポンジに押し当てながら取ります。スポンジがなければ水に濡らしたティッシュで代用できますが、ハンダ台を用意した方がよいでしょう。

私はスポンジ付きのはんだこて台を購入しましたが、めっちゃ使いやすい!
はんだごての使い方はこちらを参考に。
電池をはんだで固定させる

Amazonで買った電池です。この電池はファミコン・スーファミ両方使えます。失敗することも考えて10個入り以上がよいでしょう。

古い電池を外す時は、追いはんだ(新たにはんだを乗せること)すると外しやすいです。外れたら新しい電池をはめてはんだで固定します。

電池の方向はタブを内側に

電池の方向に注意してください。タブがついている方を内側につけてください。逆につけるとセーブできません。私は最初間違えてつけたので二度手間でした。
手順としては以下。
- ランド(銅色の金属箇所)に3秒はんだごてをあて温める
 - コテ先にはんだを押し当てる
 - はんだがスライム型になったら離す
 
電池をテープで止めたりグルーガンを使う方法もありますが、経年劣化による自然剥離などもあるし、カセットを開けた時の見栄えもよくないので、ハンダで固定させる方法がよいです。
動作検証

一旦カセットを本体から抜いて30分ほど放置後、再び差し込みます。無事、セーブできたみたいです。
まとめ
ファミコンカセットを分解して、はんだ付けしながら電池を交換する作業は、自作PCを組み立てているような楽しさがあり面白いですね。是非、皆さんも挑戦してみてください。
レトロゲーム関連の分解・清掃手順はこちら。
ハンダゴテを仕様したファミコンカセット内蔵電池の交換方法
初代ファミコンを分解・洗浄する方法
初代ファミコンの故障要因
ニューファミコンを分解・洗浄する方法
ゲームボーイのライン抜け修理
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記事作成日: 2017年7月10日 / 最終更新日:2017年7月26日
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